手作り酵素ドリンクは危険!酵素八十八選に見る市販酵素ドリンクの安全性とは(前編)
流行りの手作り酵素ドリンクには危険がいっぱい
数年前から健康やダイエットに効果があることから一躍注目を浴びるようになった「酵素」。ドリンクタイプのものから、固形のサプリメント、粉末、ゼリー等色々な商品が販売されています。最近では、自宅でも簡単に作れるとして手作り酵素ドリンクのレシピもたくさん出ています。
呼び名は、酵素ジュースまたは酵素シロップと色々ですが、作り方はほぼ同じ。好きな(旬の)野菜や果物をカットし、それに上白糖を混ぜて常温で寝かします。そして1日1~2回手で混ぜ、シュワシュワっと泡立ってきたら完成です。
材料の種類にもよりますが、市販の酵素ドリンクよりはかなり安価で出来るのと、市販の酵素ドリンクのように加熱殺菌しないことから「活きている酵素」が摂れる!という点で、健康志向の高い人にとても人気だそうです。
ですが、この手作りの酵素ドリンク(市販の酵素ドリンクと区別するために、当記事では酵素ジュースと呼びます)は、実はとても危険なのです!!ここでは手作り酵素ジュースの問題について詳しくまとめています。
「基本的には自分の手についている「常在菌」で発酵をさせる」
これは、一歩間違えば食中毒になる行為です。手にいる菌が何なのかは個体差があるものですが、食中毒にならないように手洗いが推奨されています。その際、水で洗うだけでは手に付いた雑菌が取れないので「必ず洗浄剤を使って洗いましょう」と幼稚園でも教えています。手洗いは食中毒を防ぐ基本中の基本。夏場は特に菌の繁殖が強いので、手洗いは常識です。
一方、酵素ジュースのレシピでは、発酵をさせるための「常在菌」を残すために、あえて「材料をかき混ぜる際には洗剤で手は洗わないで」と記載しているものもありました。
これは、どう考えても衛生的に問題があります。
健康な人であればお腹を壊す程度で済むかもしれませんが、食中毒は下手をすると命にもかかわります。特に、乳幼児やお年寄り、病中病後等体力が落ちている人にとっては、本当に危険なものとなります。
ネットで面白い実験を見つけました。
一般的な酵素ジュースの作成方法に従って手作りした酵素ジュースについて、国に定められた方法に従って大腸菌群、一般生菌数、ブドウ球菌を測定した実験です。
(出典:「スズメ8さんが酵素ジュースで実験してみた – Togetter」)
一般的な酵素ジュースの作成方法に則り、酵素ジュースを付けてから2日後、4日後、7日後、10日後についてそれぞれサンプルを採取して、清涼飲料水の試験をする方法の中で、国に定められた方法(公定法といいます)に準じたやりかたで、大腸菌群、一般生菌数、あとブドウ球菌について測定したところ、作成した8本中2本から(菌が)出てきました。
あと、大腸菌のなかま。こいつを探していますが、あんまりたくさんはいなさそう。あととにかく雑菌はすげくって、これと酵素にどんな関係があるのかはサッパリわからないよ。
身体にいいかと言われたら、よい要素がみつからん。ちょっとくさいし。
「常在菌」で発酵させるという行為がどれだけ危険なのか、垣間見れる実験だと思います。
野菜や果物を発酵させるのは、材料に含まれる食物酵素ではなく酵母菌の働きであり、発酵を促すには酵母菌が活動しやすいように、きちんとした温度・湿度の管理が必要となります。ですが、一般家庭で酵母菌を適正に活性化させながら、雑菌が入らないようにきちんと管理するのは至難の業です。けして「自宅で手軽に、簡単に!」というわけにはいきません。中でも湿気が問題で、湿度の高い梅雨時や夏場は、発酵するよりも先に腐ってしまったり、カビが生えてしまうことも多いです。
普通に考えてください。
カッティングした野菜や果物を、湿度の高いこの日本で、常温で放置したらどうなりますか?
いくら風通しの良い日陰に置いたとしても、数日もしたら(夏場なら半日でも)腐りますよね。
カビが生えた場合は、見れば分かりやすい(はず)ですが、酵素ジュースの場合、腐敗して泡立ったり酸っぱくなっているのを「発酵している」と間違えててしまう危険が高いのです。
物議をかもした日経ウーマンオンラインの記事「塩麹と並ぶ人気!「酵素ジュース」の作り方」に、「発酵しすぎると酸っぱいにおいがしてきて、お酒のようになってしまったり、ひどい時はカビが生えてくることもあるので要注意。」とありましたが、これは、発酵しすぎているのではなく腐っている状態だと思います。
素人が初期の発酵と腐敗を見分けるのは難しいのです。
《前述の酵素ジュースの菌についての実験より、引き続き引用》
あと、カビ。カビすごい入ってる。生えてはきてないものも、培地にまくとすごいかびる。これ健康にいいかあ?
カビがひどすぎて、7日目にして、普通の人はこれ飲まないだろと実験を中断したものもある。
(出典:「スズメ8さんが酵素ジュースで実験してみた – Togetter」)
手作り酵素ジュースは材料の1.1倍もの砂糖を混ぜて作る糖分の塊
例えば、「キウイ4個、グレープフルーツ4個、レモン6個、生姜1個」を材料として酵素ジュースを作る場合、必要な砂糖は、なんと1.5kgにもなります。
酵素ジュースのレシピ本には、発酵が進むと白砂糖はブドウ糖と果糖に分解されるので害は無いと書かれていますが、それはあくまでも「熟成発酵」に成功した場合です。材料の発酵が浅い場合や、そもそも発酵にも至らず腐敗が進んでしまった場合等は、百害あって一利なし。とてつもなく高カロリーな毒でしかありません。
この点については、現役の歯科医師も強い警鐘を鳴らしています。
砂糖は無毒化されたという酵素ジュースの甘さは、体を本当によくするのでしょうか?
松見歯科での臨床では、口腔内はがたがたになり、血液はドロドロに。
酵素ジュースを毎日摂られた当院の患者さまの血液画像をお見せいたします。
酵素ジュースを摂られていた時の画像
酵素ジュースを止められて一ヶ月後の画像
「担当歯科衛生士からの情報は以下の通りです。
・・・・・・
2012年10月9日の血球と
2013年12月24日の血球です。12月24日の血球は、砂糖酵素を止めて1ヶ月後の血球なので
まだくっつきもありますが、フィブリンがかなり減少しました。」
(出典:「酵素流行りにご注意!/マクロビオティックな歯医者さんの食と暮らし 食養塾 無何有庵の日々」)
いかがでしょうか。
手作り酵素ジュース…夾吉はとてもじゃないですが、お勧めしません!!
ここまで読むと、手作り酵素ジュースの危険性は十分理解していただけたと思います。その上で、次に、市販の酵素ドリンクはどうなっているのか、酵素八十八選の製造工程を元に検証してみましょう。
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